1967/アメリカ
監督:テレンス・ヤング
撮影監督:チャールズ・ラング
スージー:オードリー・ヘプバーン
ロート:アラン・アーキン
傑作です!
フレデリック・ノット原作の、大ヒット舞台劇の映画化。
ヘプバーンの本格的女優活動最後、といってよい作品で、次の作品まで、約10年のブランクがある。この作品の後は、1976年の「ロビンとマリアン」でショーン・コネリーと競演、1979年の「華麗なる相続人」ではシドニー・シェルダンの原作に挑戦、最後の作品1989年の「オールウェイズ」では、”妖精”ならぬ”天使”役で女優人生を終える。
音楽は名匠ヘンリー・マンシーニ。
撮影監督はヘプバーンを撮らせたら世界一? のチャールズ・ラングである。
舞台劇の映画化とあって、物語はほとんどひとつの部屋の中で展開する。撮影監督ラングの、絶妙なカメラワークの素晴らしさに感嘆する。
ミステリ、サスペンス、スリラーとしても一級品の脚本、とにかく細かな所まで良く練られている。
ヘプパーンの演技も、さすがというほど板についたもので、ブラインド(全盲)の役であるにもかかわらず、不自然さを全く感じさせない。チャームポイントである瞳に、全く演技をさせず、常に一点を凝視したように動かない瞳。首を使わずに、体ごと反応する動きなど、役作りに全根を傾けたことが解る。
この後の約10年のブランクは、女優としてなんとももったいない! 円熟した演技をまだまだ見せてほしかった……。この作品で、女優として一皮むけた感を覚えるため、本当に惜しい!
今までのファッショナブルで、”妖精”の異名どおりの演技とは正反対の、美しくはあるが、庶民的でブラインドという以外、全く普通の主婦という役柄、見事なイメージチェンジであり、大成功であったと思う。
ご都合主義の展開、との評価もあるが、悪役アーキンの演技はまた、それを払拭してあまりあるだろう。
ヤング監督の手腕も、見事に発揮されているといえる。
リチャード・クレンナとジャック・ウェストンの悪役コンビも、微妙に面白く、物語のスパイスとなっている。
少ない出演者が、それぞれ最高の演技をみせている。誰か特別な一人が作り上げた傑作ではない、製作スタッフ全員が一丸となって作り上げた傑作である。
前半の畳み掛ける攻勢、ラストへ向うスピード感あふれる展開に、ハラハラ、ドキドキ間違いなしの逸品。
Nozomiの評価は★★★★☆(四つ星!)一見の価値有り、というよりも映画好きは必見!
スージー
「ねえ、この部屋そんなに汚れているかしら」
ぎゃふん!