『月に囚われた男』

2009/イギリス


moon
監督:ダンカン・ジョーンズ
出演:サム・ロックウェル


いや予告のトレーラー見たときビビった!

これはなんだ?『惑星ソラリス』か?
いや映画『ソラリス』はひどかったが……

監督はデヴィッド・ボウイの息子だと
原案も兼ねてる
新人監督賞とかも得ったらしい

デヴィッド・ボウイといえば
SF 映画の隠れた(?)名作『地球に落ちて来た男』!

ホラーとかサスペンスとかに
全く恐怖を抱かない希ですが
この映画見たときは心底怖かった
あれこそ Sense of Wonder だよ!
希が SF に求めているのはそれなんだよ!


さて本題
原題は『MOON』となっております
この『月に囚われた男』なかなかの邦題です

舞台は近未来
資源の枯渇した地球
人類は月にエネルギー資源を託した

月で資源を開発する企業は
月へ作業員をひとり送る
たった一人
未来世界の究極の単身赴任

場所は月の裏側!

期間は三年間!

人間は自分独り!

話し相手は人工知能のコンピュータのみ!

しかも通信衛星の故障で
地球とのリアルタイム交信ができない
妻からのビデオレターで孤独を慰める

設定も出だしもイイ感じ


もっとイイのはセット!
少し薄汚れた
生活感のあふれる月面基地
散らかり放題の寝室
いたずらされたロボット

リアルだねぇ〜


最近の映画はリアルを追求するあまりに
美しすぎる映像を創りたがる

実際の世界は
埃が舞って光が乱反射して
遠くの景色はくすんで見える
遠近両方にピントが合うことも無い

それなのに最近の映画は CG 使って
画面全体がハッキリ・クッキリ
まるで不純物のない水や空気
使用された痕跡のない
新品同様のセットや小道具
そんな映像ばかりだ!

SFX を使わないセット内での撮影
月面ではミニュチュアを使った演出
といったこの映画の美術は

行き過ぎたリアリティ追求への反動や
過去の SF 映画へのオマージュ
単なる低予算のせい
なのかもしれませんが

私はリアリティを追求した結果
のように感じました

重力 1/6 を映像で再現できれば
演出的には満点だったかも!


さてストーリーに関してですが
トレーラー動画を見ると
すごいネタバレやってるように見えます

ちょっと SF好きな人には
オチが分かると思います

本編を見てみると
トレーラーと同様
かなり早い時間帯で
さっさと落としてます

こんな感じで最後までもつのかな〜
と思っていたら
出てくる出てくる
細かなエピソードの中に
次から次に SF 的アイデアが満載

SF ファンは的には満足できる感じ
ただちょっと詰め込み過ぎかな〜(笑)

SF って結局
ワンアイデア勝負!
と言っていい

途中経過は
ゆったりでも駆け足でも問題はない
ただ最期に大技でもフェイントでも
一本スパーンと決めてもらうと気持ちイイのだが
この映画はエンディングが……

最期のシーンはなくて
尻切れトンボの方が良かったかも

極端に言えば
映画のオープニングに戻って
延々とループするとか
もう収集つかなくなって
後味が悪〜い終わり方でも良かった

てか
そっちの方が良かった!(笑)

ちょっと綺麗にまとめすぎたかな?


全体の評価は★★★☆☆星3つ

アイデアは買うが映画としては
可もなく不可もなく無難
セットや撮影の演出がイイので
この評価となりました

映像が CG バリッバリでピッカピカだったら
星1つ減ってたね(笑)

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