文庫本の山と格闘


 自分で本を買い始めたのは、小学生になったばかりの頃。『ドラえもん』が最初だった。子供の頃はとにかく漫画(コミック)ばかり買い漁った。

 手塚治虫、藤子不二雄、横山光輝、白土三平……、中学生の頃になると、既に 500冊は超えてしまっていた。さらに戴いた本を合わせると、我が家には漫画本だけで、1000冊超!

 今では売り払ってしまって、手元には手塚治虫と萩尾望都だけ。永野護といがらしみきおも、一応置いてあるのだが、ダンポール箱に放り込んで家の外(一応雨は防げる)だ。


 小説を本格的に読み出したのは、中学生の頃。最初の国語の担任が面白い人だった、最初の授業は今でも忘れない。

 厳つい獣の名前を苗字に冠したその教師は、名前の通りの見た目で、野性味たっぷりで、服装などには頓着しないタイプ。その厳つい教師が突然、中国が舞台の物語を語り始めたのだ。

 今では内容は全く覚えていないが、物語はすぐに終わった、とても短い話だったのだ。

 そしてその教師は、”ショートショート”と呼ばれる、ごくごく短い小説の存在を教えてくれた。それからが私の小説遍歴の始まりであった。

 星新一、小松左京(筒井康隆は趣味に合わなかった)を読みふけり、そこから栗本薫、西村京太郎(昔の作品は最高!)、エラリー・クイーンにアガサ・クリスティ。そして、第 3回江戸川乱歩賞受賞(小説としては初)作家、仁木悦子にたどり着く。

 仁木悦子にはどっぷりハマった、講談社版での最後になった文庫に掲載された、夏樹静子女史による解説で、逝去なさったことを知ったのは、本屋の棚の前だった。「お会いすることが叶わなかった」と痛切に感じた。

 さらに小栗虫太郎「黒死館殺人事件」、夢野久作「ドグラ・マグラ」を歴て、最終的にたどり着いたのは、久生十蘭という作家だった。一時期、久生さえあれば小説は要らない! とまで本気で思っていたほど。

 そうして文庫本も1000冊を超える蔵書になってしまっていた。部屋は壁一面本棚だった。

 とにかく全部片付けよう、と思い、ごっそりダンボール箱へ詰め、家の外へうっちゃっておいた。手元に小栗、夢野、久生だけ残して。


 で、今回文庫本の山と格闘することになったのは、仁木悦子と萩尾望都が埋れているのは忍びない……、西村京太郎も数冊だけは手元に置いておきたい。それだけだった(笑)


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 もう何年もほったらかしているのに、思ったより、というか殆ど被害がない。

 文庫本なんか傷みが激しくて売れないよ、と思っていたが、結構状態の良いものもあった。


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 西村京太郎である。現在では『月刊 十津川警部(もう古い?)』の作者のようですが、昔は社会派あり、本格推理あり、コメディあり、サスペンスありの超がつく一級の作家だった(過去形?)。


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 ずらりと仁木悦子! 数冊抜けはありますが 9割方揃ってます。もう一度本棚に並べよう!


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 萩尾望都です。彼女の描く SF は最高です! 「銀の三角」は希のコミック・ベスト1です! ちなみに2位は、手塚治虫「アトム今昔物語」! 新聞連載復刻版を含め 3バージョンくらい読みましたね。


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 相対性理論、月も好きです。これは純粋に趣味ですね。雑誌「Newton」の初代編集長、東大名誉教授である故・竹内均先生は、私が勝手に学問の師と仰いでいる方です。


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 とりあえず手元に置く用に、引っ張り出してきたもの。

 綾辻行人は「時計館の殺人」と「霧越邸殺人事件」のみ! あと笠井潔、光瀬龍。

 西村京太郎の『左文字進シリーズ』5冊と、幻の『徳大寺京介シリーズ(短編二作しかない!)』収録の「一千万人誘拐計画」も。「殺しの双曲線」は本格推理の傑作!

 西村の「聖夜に死を」と、森村誠一の「人間の証明」はダンボール箱にしまい忘れ(笑)

 有栖川有栖は一冊のみ、他は『火村シリーズ』しかなかった、『江神シリーズ』が好み。

 一番嬉しいのが「COMICAL MYSTERY TOUR」だったりする(笑)


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 綺麗に掃除して並べてみました。

 でもやっぱり久生が一番!

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